ライン川クルーズで世界遺産の景観を楽しもう!

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ユネスコ世界遺産「ライン渓谷中流上部」

全長1,233km、スイスアルプスに源を発し,中部ヨーロッパをほぼ北流して北海に注ぐライン川。そのうち、ドイツのマインツからコブレンツ間の約65kmが、地理学的、歴史的、文化的、産業の分野において複合的で独特な景観とされて、「ライン渓谷中流上部(Upper Middle Rhine Valley)」として、ユネスコ世界遺産に登録されています。ライン川クルーズでは、その美しい渓谷の眺めを楽しむことができます。

ライン川クルーズ「ロマンティック・ライン」

ライン川クルーズの運航区間は、マインツからケルンまでの約185km。その全区間をクルーズすると、なんと約11時間!今回はフランクフルトから日帰りということもあって、ワイン醸造の街リューデスハイム(Rüdesheim)のレストラン「Zum Drosselmüller」で美味しいワインとドイツ料理をゆっくり堪能したあと、所要時間1時間40分というリューデスハイムからザンクト・ゴアールまで約30kmのハイライト区間に乗船することにしました。

発着場のチケットブースでチケットを購入して(片道18.90 €/2017年現在)、いざライン川クルーズへ!

キレイな船内。テーブル席ではお食事もできるようになっています。

乗船したのは、The Bingen-Rüdesheimerという会社のMS Vater Rheinという全長54m、高さ9.5mの大きなクルーズ船でした。船上のデッキへ出ると素晴らしい見晴らしです!

このハイライト区間を含むユネスコ世界遺産に指定されているライン渓谷中流上部は「ロマンティック・ライン」とも呼ばれて、おとぎ話に出てきそうな中世の香り漂う古城や小さな村、深い森の景色がライン川の両岸に流れていきます。

いよいよリューデスハイムから出発です。遠ざかっていくラインガウ・ワイン博物館とブレムザー城に別れを告げながら、本場のリースリングを楽しんだ思い出に感謝です。

ニーダーヴァルト記念碑(Niederwalddenkmal)

リューデスハイムの丘一面に広がるブドウ畑。その丘の頂上に聳えるのは、普仏戦争後のドイツ帝国発足を記念して建設された「ニーダーヴァルト記念碑(Niederwalddenkmal)」です。その中心に立つ女神ゲルマニア像が、ブドウ畑とライン川を見守るように立っています。

エーレンフェルツ城(Burg Ehrenfels)

リューデスハイムのブドウ畑の斜面に立つ「エーレンフェルツ城(Burg Ehrenfels)」。マインツ大司教の命を受けて、1211年に築城されました。当初は要塞として使われていましたが、やがて西岸の中州に立つ「ネズミの塔(Mäuseturm)」とともに徴税用の城となり、税関として重要な役割を果たしました。

17世紀の大同盟戦争でフランス軍に破壊されてから、その後、長年に渡って放置されて老朽化が進んだため、廃墟となり、現在は内部の見学はできないそうです。当時の堂々たる風貌を外観から感じることができますが、その時代を生きた建物が歴史を語りながら、時を刻んで朽ちていく姿は儚くも美しくあります。

クルーズ船上でもリースリング!

ライン川の美しい景観を楽しんでいると、飲食のメニューを持ったクルーさんがオーダーを取りにいらっしゃいました。

ここではもちろんリースリングをオーダーです。世界遺産のライン川をクルーズしながら、リューデスハイムのブドウ畑を背景に大好きなリースリングが飲めるなんて!!

ワイン片手にいただいた日本語ガイドを見ながら、クルーズは進んでいきます。

ラインシュタイン城 (Burg Rheinstein)

左岸には「ラインの宝石」とも呼ばれる美しい「ラインシュタイン城 (Burg Rheinstein)」が見えてきました。築城者や築城年について詳細は分かっていません。17世紀にフランス軍によって破壊され廃墟となりましたが、1829年にネオ・ゴシック様式に修復されました。

1975年に元オペラ歌手のヘルマン・ヘッヒャーが購入して以来、現在もヘッシャー家が所有していて、古城博物館として一般公開されています。また、礼拝堂では結婚式が行われたり、小さなレストランではお食事も楽しめるのだそうです。

ライヒェンシュタイン城(Burg Reichenstein)・ゾーネック城(Burg Sooneck)

ラインシュタイン城に続いて同じ左岸に見えてくるのは、ライン川沿岸では最も古い城のひとつ、11世紀に築城された「ライヒェンシュタイン城(Burg Reichenstein)」と、ライヒェンシュタイン城の守護城として築城された「ゾーネック城(Burg Sooneck)」です。

13世紀になると両城は盗賊騎士の巣となったため、神聖ローマ皇帝ルドルフ1世に焼き払われて、落城しました。その後も破壊と修復を何度も繰り返していく歴史を辿ることとなります。現在はそれぞれ見学可能となっています。

聖ボニファティウス教会(St. Bonifatius)

右岸に見えてきたのは、ロルヒハウゼン(Lorchhausen)の街。緑を背景に立つネオ・ゴシック様式の「聖ボニファティウス教会(St. Bonifatius)」が絵になります。

シュターレック城(Burg Stahleck)

ロルヒハウゼンを少し先に進んだ対岸には、バッハラッハ(Bacharach)の街があります。もともとの地名「Baccaracus」はケルト語に由来しています。

街の丘に立つのは、11〜12世紀頃、ケルン大司教の命によって築かれたという「シュターレック城(Burg Stahleck)」。17世紀後半、フランス軍によって破壊されましたが、現在は修復されて、古城のユースホステルとして親しまれています。

グーテンフェルス城(Burg Gutenfels)

その先の右岸には、歴史的な建物が並ぶ美しいカウプの街。その丘の上には、1220年にライン渓谷の軍事拠点として建造された「グーテンフェルス城(Burg Gutenfels)」が聳え立ちます。当時は「カウプ城」と呼ばれていましたが、16世紀に『完璧な岩の城』という意味を持つ「グーテンフェルス城」に改名されました。1806年にナポレオンによって廃された歴史を持ちます。現在は美しい景観を眺められるホテルとして利用されています。

ローレライ(Loreley)

ライン川右岸、水面から130mほど突き出た断崖絶壁の岩山「ローレライ(Loreley)」。かつてローレライ付近は、ライン川の中で一番狭いところにあるため、流れが速く、水面下にも多くの岩が潜んでいることから、多くの舟が事故を起こしたという難所でした。ローレライは、岩山を表すと同時に、岩山の妖精、ギリシア神話に登場する海の怪物「セイレーン」の一種ともされて、『海の航路上の岩礁から美しい歌声で航行中の人を惑わし、遭難や難破に遭わせる』という伝説と結びついて、『岩山にたたずむ美しい少女が船頭を魅惑し、舟が川の渦の中に飲み込まれてしまう』という有名なローレライ伝説が生まれました。

ローレライの美しい景色は、芸術家たちも魅了しました。中でも、ドイツの著名な詩人ハインリヒ・ハイネ(Heinrich Heine)の詩に、作曲家フリードリヒ・ジルヒャー( Friedrich Silcher)が曲を付けたことで、ローレライは一躍有名になり、日本では明治42年の『女声唱歌』に掲載された近藤朔風の訳詞が広く知られています。また、『ワルツの父』と呼ばれたオーストリアの作曲家ヨハン・シュトラウス1世( Johann Strauss I.)も代表作『ローレライ=ラインの調べ』を作曲しています。

ネコ城(Burg Katz)

ローレライを越えていくと、ザンクト・ゴアルスハウゼン(Sankt Goarshausen)の丘高くに聳える「ネコ城(Burg Katz)」が見えてきました。正式名称は「ノイカッツェンエルンボーゲン城(Burg Neukatzenelnbogen)」。カッツェンエルンボーゲン伯が領地を守るために築いたお城です。伯爵の名から名付けられましたが、世間には省略した「カッツ城(Burg Katz)」として広まり、ネコを意味する「カッツェ (Katze)」に通じることから、「ネコ城」と呼ばれるようになりました。

ラインフェルス城と並んで堅固なネコ城でしたが、1806年、グーテンフェルス城と同じくナポレオンによって破壊されてしまいました。その後、何度か所有者が変わり再建されてきましたが、現在はなんと日本人男性が所有していのだそうです。まさかライン川沿いの古城のひとつを日本人が所有しているなんて、驚きますね。

クルーズの終着点ザンクト・ゴアール(Sankt Goar)

いよいよクルーズも終盤。右岸にローレライ、ネコ城を眺めながら、その対岸にクルーズの終着点ザンクト・ゴアール(St.Goar)の街並みが見えてきました。

ライン川の発端、スイスからのクルーズ船でしょうか。国旗を掲げてライン川を進んでいきます。その先にはザンクト・ゴアールの丘上に立つ美しい古城ホテルとしても有名な「ラインフェルス城(Burg Rheinfels)」を見ることができました。対岸の「ネコ城」と同じくカッツェンエルンボーゲン伯が築いたお城で、巨大な要塞を持つラインフェルス城はライン河畔では最大級を誇ります。

世界遺産の景観を楽しませていただいた1時間40分のクルーズを終えて、下船です。どんな旅もそうですが、始まりはワクワクして、終わりを迎えるときには満足感とともにちょっとした切なさもあります。そんな感情を感じられることが幸せなんですけどね…。素敵なひとときをありがとうございました!

リューデスハイムからライン川クルーズの日帰り旅。まずは念願だった本場のリースリングをレストランでもクルーズ船でも楽しむことができて、リューデスハイムの街を散策したり、ライン川を眺めたり、とってもいい時間を過ごすことができました。

帰路は、サンクト・ゴアール駅(St Goar)を出発して、マインツ駅(Mainz Hbf)で乗り換えて、フランクフルト中央駅(Frankfurt Central Station)へと戻りました。所要時間はおよそ1時間40分ぐらいです。

最後に…ロマッティック・ラインのハイライト区間で見てきた景色は、確かに美しい景観でしたが、文頭で「おとぎ話に出てきそう」と表現した古城や小さな街の歴史を遡っていくと、数世紀に渡る戦争によって、各国に占領されながら、フランス軍によって破壊された歴史がありました。築城当時の夢も儚く、そこには大きな痛みが残されていました。どの時代においても、遺産を守り続けることは、自国の歴史を語り継いでいくことだと、今を生きる役割をあらためて実感したのでした。

リースリングの原産地へ!ワイン醸造の街「リューデスハイム」
【Zum Drosselmüller】本場リースリングで乾杯!絶品ソーセージ料理(Rüdesheim/リューデスハイム)
Bingen-Rüdesheimer(クルーズ船オフィシャルサイト/英語)

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