美術館巡りをしながら、たくさんの世界的に有名な作品に触れられることは、パリを訪れる楽しみのひとつです。充実した時間を過ごせた「ルーヴル美術館」に続いて、こちらも5年ぶりとなる「オランジュリー美術館(Musée de l’Orangerie)」を訪れました。
オランジュリー美術館の建物は、もともとテュイルリー宮殿のオレンジ温室(オランジュリー)として使用されていましたが、1927年にクロード・モネの最後の大連作『睡蓮』を収めるための美術館として整備されました。
館内はルーヴル美術館の規模とはだいぶ異なりますが、白を貴重とした上品な雰囲気です。展示室には、モネやルノワール、セザンヌやゴーギャンなど代表的な印象派とポスト印象派の名作の他、20世紀初頭に活躍したピカソやモディリアーニなど近代美術に大きな影響を与えた作品も揃っています。
個人的には、愛するピエール=オーギュスト・ルノワールの作品を間近で見ることができて、とっても幸せでした。『ピアノを弾く少女たち』、『風景の中の裸婦』『ガブリエルとジャン』等々、体温を感じるような柔らかさと優しさが滲み出てくる名作の数々をじっくり鑑賞させていただきました。
ですが、やはりオランジュリー美術館はモネの大連作『睡蓮』を収めるために整備された美術館ですから、それが一番の見どころです。『睡蓮』が飾られている特別展示室へ。
天井から射す明るい陽光に満ちた空間に、『睡蓮』の大連作が壁一面に飾られています。どちらかというと近くで見るより、少し離れて見ていたいモネの作品の特長が曲線と調和されていて、睡蓮の咲く美しい水辺の風景が目の前に広がっているようでした。
ルーブル美術館やオルセー美術館のように行列ができるような大規模な美術館ではありませんが、モネが望んだ明るい陽光が創り出すオランジュリー美術館は、凛とした透明感がある雰囲気の中で、ゆっくり名作を鑑賞できる素敵な空間でした。
・Musée de l’Orangerie(オフィシャルサイト)