[ブリュッセル⇄ヒューガルデン] 【Hoegaarden】ベルギーを代表するホワイトビール生誕の地へ

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Beer culture in Belgium‼︎

ベルギーを代表するお酒といえば、やっぱり「ベルギービール」。ベルギー国内には125の醸造所が点在、銘柄数はなんと1500種類以上ものビールスタイルがあります。2016年には、「ベルギービール文化(Beer culture in Belgium)」として、ベルギービールが受け継がれてきた歴史や、ベルギービールを楽しむライフスタイルなどが評価されて、ユネスコの無形文化遺産に認定されました。

ベルギービールの中でも世界的に有名なブランド「ヒューガルデン(Hoegaarden)」は、ホワイトビールの代表格です。近年の日本でもクラフトビールブームの影響もあって色々なタイプのビールが飲まれるようになりましたが、フルーティで爽やかな口当たりの「ヒューガルデン・ホワイト」は圧倒的な知名度と人気があるブランドのひとつではないでしょうか。

ブリュッセルからヒューガルデン村へ

「ヒューガルデン」という名前は、ブリュッセルからおよそ45kmほど離れた「ヒューガルデン村」の地名に由来します。アクセスを調べてみると、ブリュッセルから鉄道とバスを乗り継いで2時間弱で到着するようだったので、せっかくヨーロッパ28ヵ国乗り放題の鉄道パス「ユーレイルパス」を持っていることもあって、ヒューガルデンまで行ってみることにしました。

グラン=プラスや小便小僧などの観光名所に近いブリュッセル中央駅(Brussel-Central)から約2km離れたブリュッセル北駅(Brussel-Noord)から出発します。ブリュッセル北駅の周辺にはあまり観光名所がないので、外観はひっそりとしていましたが、駅構内に入ると人が行き交っていて安心しました。

だ、誰もいなくて不安…と思いきや、奥に女性の頭頂部を発見。綺麗な車両です。

ブリュッセル北駅を出発してから30分ぐらいでヒューガルデン醸造所の最寄駅「ティーネン駅(Tienen)」に到着。やはり中心都市から離れた駅は少々こじんまりしています。

続いて、ティーネン駅前のバスターミナルからバスに乗り継ぎます。ヒューガルデンに停車する路線はいくつかありましたが、360番の本数が一番多いようでした。
360 : Tienen – Hoegaarden – Geldenaken
361 : Tienen – Hoegaarden – Outgaarden
362 : Tienen – Hoegaarden – Malen

鉄道駅と違って、いくつもの駅に停車するバスの路線は地図に乗っていないので、少し不安になることもありますが、Wi-Fi無しでオフラインでも使える地図アプリ「maps.me」を眺めながらヒューガルデンに近づいていくことを確認できました。maps.meは、世界一周中にとてもお世話になりました。感謝!

無事にヒューガルデン醸造所の最寄駅「Hoegaarden Au Canal」で降車できました。帰りの時刻表もチェック。だいたい1時間に1本の間隔でバスがありました。

バス停からヒューガルデン醸造所まで歩いていきますが、道中まったくインフォメーションが見当たりません…。そして、道を聞こうにも人が歩いていません…。再びmaps.meを頼りに醸造所に向かいました。

小さい頃に憧れたような欧風の可愛らしいレンガ造りのお家が並びます。

のんびり歩いているとステンレスタンクが見えてきました!この景色、ワクワクしてきます。

いよいよヒューガルデン醸造所に到着!が・・・!!

最寄りのバス停から歩くこと約10分。いよいよヒューガルデン醸造所に到着しました!ファザードに掲げられた馴染みあるHoegaardenのロゴが嬉しさを増してくれます。

ん?でも、なんとなく辺りが淋しい様子…。

JAARLIJKS VERLOF van 2 november t/m 17 november. Terug tot uw dienst:Woensday(Wednesday?)18 november!

11/2から11/17まで年次休暇です。11/18(水)から通常営業に戻ります!

Noooooooo!!!!!!!!
心の叫びが止まらないほどの衝撃でした。事前にHPでアクセスなどチェックしていたのですが、年次休暇の情報を見逃していたのでしょうね…。無念でございます。

ヒューガルデンの歴史を辿る

村に残されている文献によると、1445年にヒューガルデン村を訪れた修道士が小麦を利用したビール(ホワイトビール)の個性的なレシピを発見したことがはじまりとされています。15世紀半ばというと、ベルギーはブルゴーニュ領ネーデルランドの一部で、多くの植民地を持っていたネーデルランドは異国からのスパイスをベルギーにもたらしました。

最初のホワイトビールは信じられないほど酸っぱいものだったと記録されています。その後、修道士がキュラソー島のオレンジピールとコリアンダーシードを使用して実験をしたことが、ヒューガルデン・ホワイトのレシピを完成に近づけた第一歩となったのです。

ホワイトビールの成功によって、18世紀のヒューガルデン村には続々と醸造所が設立されました。1709年には12ヵ所、1726年には36ヵ所まで増大して、110棟もの麦芽製造所がありました。ただ、その歴史は長くは続きません。20世紀になると、世界的に主流になったピルスナービールの人気に押されて、ヒューガルデン村周辺の醸造所が次々と廃業に追い込まれることになります。1957年、ついに最後の醸造所だったトムシン醸造所も閉鎖してしまいました。

しかし、すぐ後の1965年、牛乳屋だったピエール・セリス(Pierre Celis)は伝統のレシピを守るために、ミルク小屋で銅製のボイラーだけを使用して、1バッチからホワイトビールの醸造を開始しました。さらに、運用を拡張するために廃業したレモネード工場を買い取って「デ・クライス醸造所(De Kluis)」を設立し、村の名前にちなんで「ヒューガルデン・ホワイト(Hoegaarden White)」と名付けました。

ヒューガルデン・ホワイトは、もともと昔を懐かしむ人たちに向けて復活させたビールでしたが、その爽やかな飲み口とフルーティな味わいがピルスナー慣れしていた当時の若者にウケて、口コミから一気に人気が広がっていきました。1985年、デ・クライス醸造所の年間生産量は75,000hl(ヘクトリットル)にも及びました。

しかし、1985年に醸造所が火災によって消失すると、ピエール・セリスの財力では復興が困難だったため、インタブリュー社(現インベブ社)の傘下に入ることになります。大手ビール会社によって大量に生産された結果、ヒューガルデン・ホワイトの地位は世界で確固たるものとなりました。

一方、ピエール・セリスは大手ビール会社につくられたヒューガルデンを「本来の味ではなくなった」と評して、アメリカでセリス醸造所を設立して、ベルジャンスタイルのホワイトビール「セリス・ホワイト(Celis White)」の醸造を開始しました。セリス醸造所は、のちにミラー社によって買収されましたが、数年後にミラー社が撤退。現在は、ベルギーとアメリカの醸造所でライセンス生産されています。

こうして歴史を辿ってみると、ヒューガルデンもさることながら、ピエール・セリスが理想のホワイト・ビールを追求して醸造したセリス・ホワイトもとても気になるところです。日本でも飲めるようなので、機会があれば、見つけて飲んでみたいと思います。

BAR「Den Venetiaen」で本場ヒューガルデンを飲もう!

ヒューガルデン醸造所が年次休暇というショックもありましたが、せっかくヒューガルデン村まで来たのですから、本場のヒューガルデンに癒してもらうしかありません。醸造所から教会に向かって歩いていく途中で、醸造所と同じHoegaardenのロゴをファザードに掲げているカフェバー「Den Venetiaen」を見つけました。

店内は程よくカジュアルで心地よい雰囲気。入店したときはお客様が少なかったですが、ランチタイムになってくると、常連らしき方々が続々と訪れていました。

ベルギービールのラインナップに合わせて、各種タンブラーも揃っています。

ヒューガルデン・グランクリュ(Hoegaarden Grand Cru)

さて、いよいよお待ちかねのヒューガルデンです。まずはドラフトから!と思いましたが、今まで飲んだことがなかったヒューガルデンのプレミアム版「ヒューガルデン・グランクリュ(Hoegaarden Grand Cru)」を最初にオーダーすることにしました。

「グランクリュ(Grand Cru)」
フランスワインの世界において、最上級のぶどうを産出する「特級畑」を意味する言葉。

品が良くて高級感があるデザインのボトル。専用タンブラーはヒューガルデン・ホワイトとはまったく違う形状です。早速、ビールを注いでみると、液色はやや濁りのある濃いオレンジゴールドで、プレミアム感が伝わってきます。

ヒューガルデン・ホワイトが小麦を使用しているのに対して、ヒューガルデン・グランクリュは大麦麦芽が使われています。そのため、想像していたテイストとは異なって、軽快さよりも飲みごたえがありますが、ヒューガルデンらしいフルーティな味わい、深みのあるコリアンダーやオレンジピールのスパイシーさも楽しめました。アルコール度数も8.5%とやや高めです。

ヒューガルデン・ホワイト(Hoegaarden White)

ホワイトビールの王道「ヒューガルデン・ホワイト(Hoegaarden White)」を飲むために、ブリュッセルから本場ヒューガルデン村までやってきました。ピエール・セリスが昔を懐かしんだ人たちのために復活させたビールが、ピルスナー慣れしていた当時の若者に受け入れられたのと同じように、私も初めてヒューガルデン・ホワイトを飲んだとき、衝撃を受けました。ビールのバリエーションの楽しさを知るきっかけとなったビールです。

キレイにタンブラーに注いでいただきました!これぞヒューガルデン。ドラフトならではのきめ細かい泡、優しく白く濁った明るい黄色の液色、フレッシュな香りが飲欲を誘います。味わいについては繰り返しになりますが、口当たりの良いフルーティな味わいに、程よい酸味が爽やかに口の中を駆け巡ります。あぁこの一杯のために…‼︎ 幸せな瞬間です。

2杯を飲み終える頃には、店内は地元のお客様で賑わっていました。Den Venetiaenさん、ご馳走さまでした!

今回、残念ながら醸造所は休暇中でしたが、ピエール・セリスという一人の男性の情熱によって、一度はこのヒューガルデン村から姿を消しかけたビールが、ヒューガルデン・ホワイトとして復活した場所、ヒューガルデン・ホワイト生誕の地を訪れることができて、嬉しく思いました。ただ、皮肉なことに、世界的に広く飲まれるようになったことで、セリス氏曰く「本来の味ではなくなった」という点には、ビール業界における大手企業と中小規模のブルワリーとの普遍的な相関を感じながら、ほろ酔いモードでブリュセルへと戻ったのでした。

Hoegaarden(オフィシャルサイト)
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