ブリュッセルに次ぐベルギー第2の都市「アントワープ(Antwerp)」。17世紀バロック時代の巨匠ルーベンスの故郷であり、1663年に設立された名門校「アントワープ王立芸術学院」は世界有数のデザイナーやクリエイターを輩出しています。日本ではアニメーション化された小説『フランダースの犬』の舞台として一躍有名になりました。
そんなアントワープの拠点駅となる「アントワープ中央駅(Antwerpen-Centraal)」は、”鉄道の大聖堂”とも呼ばれる美しい駅舎で、芸術の街を象徴するように凛と聳えています。
ブリュッセルから北へおよそ50km。ブリュッセル中央駅からアントワープ中央駅までの平均所要時間は50分前後です。今回もヒューガルデン村に続いて、ヨーロッパ28ヵ国乗り放題の鉄道パス「ユーレイルパス」を利用して、気軽にアントワープ日帰り旅へ出かけました♪
日本で馴染みのある「Antwerp/アントワープ」という呼び方は英語名に由来するもので、アントワープでは公用語とされているオランダ語の「Antwerpen/アントウェルペン」と表記されています。ということで、アントウェルペン中央駅(Antwerpen-Centraal)に到着。(以後はややこしくなるので、アントワープと記します。)
到着した地下2階からエスカレーターで地上階へ。
地下から地上階までは明るく開放的な吹き抜けになっています。
何のインフォメーションかな?と近づいてみると、アントワープから世界の各都市までの距離を示すものでした。東京まで9,432Km!! まったく距離感は掴めませんけど…。
歴史を感じさせる重厚な装飾と近代的なデザインが共存するアントワープ中央駅の内装。
元の駅舎はベルギーの建築家ルイ・デラサンセリ(Louis Delacenserie)の設計によるもので、1895年から1905年まで10年の月日をかけて建てられました。その豪華で荘厳な造りは、国際的な商業拠点として栄えてきたアントワープの豊かさを象徴しているようです。
様々なメディアで『世界で最も美しい駅』に選ばれるなど、その美しい佇まいは観光スポットとしても名高く、映画やCMなどの撮影にも使われています。特にベルギー特産の色大理石でつくられた待合ホールは宮殿のように豪壮な空間です。
一方、プラットホーム側のガラス屋根と曲線を描く鉄材が織りなす幾何学的な建築は、クレメント・フォン・ボガード(Clément Van Bogaert)の設計によるもので、1925年に開催されたパリ万博で花開いたアール・デコへと繋がる繊細なデザインと評されています。
1998年から地下部分を作る大規模な改良工事が行われた結果、2007年に最初の列車が地下階を通過しました。エレガントで装飾的、かつ幾何学的なデザインを併せ持つ元の駅舎の美しさを引き立てながら、現代的なデザインが融合した新しい駅舎へと生まれ変わったのです。
美しい内装もさることながら、外観も大聖堂のような荘厳な造り。駅舎の正面から側面へ廻ってみても、抜かりない美しさが健在です。
最後に、待合ホールで子どもたちの人気を集めている機関車トーマスを発見!世界で最も美しい駅での世界中で愛されているトーマスとの出会いに、ほっこりした気持ちになりました。
駅構内はカフェやファーストフード、ショップも充実しているので、食事やちょっとした休憩、お土産探しにも便利です。鉄道の利用はなくても、アントワープ観光のスポットのひとつとして、世界で最も美しい駅は一見の価値ありです。
・ANTWERPEN-CENTRAAL(ベルギー国鉄・ NMBS/SNCBのサイト)
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