約61メートルもの高さを誇るバガン遺跡の中で最も高い「タビィニュ寺院(Thatbyinnyu Temple)」。バガン平原の多くの場所から、その雄大に聳え立つ姿を眺めることができます。(約66メートルという説もあり)
タビィニュ寺院は、12世紀中頃、パガン王朝の第4代アラウンシードゥー(Alaungsithu)王の統治下で建立されました。別名「the Omniscient(全知)」とも呼ばれていて、つまり「仏陀」を意味しています。
パガン王朝初期は平屋建ての建築様式でしたが、タビィニュ寺院はパガンに建てられた最初の2階建て建築の一つです。美しい建築様式として有名なアーナンダ寺院とも隣接しています。
全体は白いスタッコ(化粧しっくい)で塗られたレンガ建築で、補強要素として、入り口と舗道には石が用いられています。
十字のように形成された構造になっていますが、対称ではありません。東西南北の4つの側面に突出したアーチ型のエントランスホールがあり、メインエントランスでもある東側の柱廊だけが、寺院の対称性を破るように他の3箇所より長く造られています。
以前まで開放されていた2階のテラスは、バガン平原を眺めるのに最高の場所だったそうですが、さらなるレンガの浸食を防ぐために、残念ながら、現在は一般公開されていません。階段の登り口には像が置かれて、閉ざされていました。
2階にも仏像が安置されているそうですが、1階には黄金に輝く仏像がいらっしゃいました。
一見、それぞれが似たように見える寺院や仏塔でも、時代の移り変わりとともに、構造も変化し、新しい建築様式が誕生してきたことを知ることができました。
朝を迎えたバガンに、清々しく聳えるタビィニュ寺院を眺めて。
・Thatbyinnyu Temple(Wikipedia)