バガン遺跡の中で最も有名な寺院のひとつ「アーナンダ寺院(Ananda Temple)」。王朝に最盛期をもたらした王といわれている第3代チャンシッター(Kyanzittha)王が、1105年に建立した寺院です。
都城外の東側に位置するアーナンダ寺院は、一辺が53メートルの大きな方形の寺院で、高さは51メートルに及びます。「アーナンダ」という名前は、仏陀の弟子のひとりに由来します。
観光地としても人気で、寺院の前にはバスや車がたくさん停車していました。多くの観光客が訪れていることが、立派な外観からも伝わります。
The観光地っぽいお土産屋さんの間を通り抜けて、寺院内へと入っていきます。
アーナンダ寺院は、ビルマとインドの建築様式を融合させたスタイルであり、ギリシャの十字のレイアウトを持つエレガントさを兼ね備え、完璧に計算された対称の構造になっています。
最も特徴的なのは、尖塔の黄金に輝く美しい”シカラ(sikhara)”です。北インドをルーツとしているシカラからも、インドから影響を受けていることが分かります。また、シカラすべての側面には、仏像が安置されている5つの壁龕があり、さらにそのトップには傘型の尖塔装飾品である「hti(ティ)」が飾られています。
バガンで最も美しく中心的な建造物とされて、その圧倒的な印象から「ビルマのウェストミンスター寺院」とも称されているのだそうです。
アーナンダ寺院もバガンの他の寺院と同じく、東西南北それぞれの方向に仏像が安置されていますが、アーナンダ寺院の仏像は黄金に輝く立ち姿で、高さ9.5メートルという圧倒される大きさです。そして、それぞれの仏像には名前が付けられています。
Kassapa-南向き
Kakusandha-北向き
Konagamana-東向き
Gautama-西向き
この4体の仏像うち、南北を向く2体が当時の仏像であると考えられています(2体は火災によって焼失)。あらためて、その迫力を人と比較できる縦方向の写真でどうぞ。
この聖域に安置された4体の仏像は、”Buddhas of the modern age(現代の仏陀)”と呼ばれて、仏陀の”sense of the omnipresence through space and time(空間と時間による偏在の感覚)”の兆候をもたらしていると言われています。
また、アーナンダ寺院の壁面には、仏陀の生涯から80のエピソードを描いた石の仏像が彫られています。こちらもまた圧巻。
寺院内では、1,500もの石像が見られるそうです。(その多くは磨損のため不明瞭とのこと)
仏像一体一体の彫りの精巧さに、感嘆のため息が出てきます。
上座部仏教を推し進めていたチャンシッター王は、このアーナンダ寺院を通じて、正確で 間違いのない方法で人々に仏の教えを示すために、また、”大衆の宗教的狂信を創造する”という一つのフラッグのもとで、ビルマを団結させるために奮いたちました。
夜明け前、遠くに見えるライトアップされたアーナンダ寺院。
・Ananda Temple(Wikipedia)